梅毒は血液検査によって感染の有無、治癒判定を行います。血清学的検査には主に二つの検査方法があり、双方の数値を見て判断します。梅毒は体に現れる症状だけでは判断が難しいことも多く、全く症状が出ない方もいるので、血液検査による判定でしか感染の有無を確認できません。

検査結果の解釈

梅毒の検査は通常二つの検査方法を組み合わせて判定を行います。

検査方法 ①
STS:RPR法
検査方法 ②
TP抗原:TP 抗体〔LA〕・TPHA・FTA-ABS
結果の解釈
(ー)陰性 (ー)陰性 梅毒ではない。※まれに梅毒感染初期。
(+)陽性 (ー)陰性 生物学的偽陽性 。※まれに梅毒感染初期
(+)陽性 (+)陽性 梅毒。もしくは梅毒治癒後の抗体保持者。
(ー)陰性 (+)陽性 梅毒治癒後の抗体保有者。
ごくまれにTP抗原系の偽陽性。

※なぜ、まれに梅毒感染初期ということがあるかというと、感染初期は検査に引っかからない時期があるためです(検査で検出できない期間がある恐ろしさ【ウインドウ期とは】

2通りの検査方法の詳細

1.STS(RPR法)

STSはカルジオリピン、レシチンのリン脂質を抗原(体の中に侵入してきた異物)とする脂質抗原検査の総称です。STSはガラス板法、RPR法、凝集法、緒方法がありますが、現在はほぼRPR法以外は行われていないため、様々な記事で目にするSTSはRPR法と同義と考えて差し支えありません。RPR法は梅毒トレポネーマ(TP)そのものを直接確認しているわけではないため、必ずしも梅毒に反応するわけではなく、他の炎症性疾患や自己免疫性疾患などに反応してしまう場合があります。梅毒以外の疾患で陽性を示すことを”生物学的偽陽性”と呼びます。

RPR測定は大きく分けると以下の2種類があります。

・倍数希釈法
2n乗の希釈系列のどこまで凝集反応を確認できたかで結果が示される(例:1倍未満、1、2、4、8、16、32、64…倍)。1倍未満が陰性。

・自動化法
小数点第一位までの連続値で示され、単位はR.U.、U、SU/mlと試薬によって異なる。どの試薬も1.0以上を陽性、1.0未満を陰性として判定する。

定性検査としての精度は倍数希釈法と自動化法の一致率は非常に高いです。しかし、定量値は、倍数希釈法と自動化法の抗体価には相関性はあるものの、数値自体は一致しません。つまり、倍数希釈法よりも自動化法の結果の方が高いこともあれば低いこともあります。

日本性感染症学会のガイドラインによると、梅毒の治癒判定は定量値が倍数希釈法では8倍以下、自動化法では16 R.U.未 満に低下することを確認することとされています(梅毒の治癒判定)。治療後6か月経過しても16倍(16 R.U.)以上を示す場合は治療が不十分であるか、再感染が疑われるため再治療を行う必要があります。

2.梅毒トレポネーマ(TP)抗原を利用する方法(FTA‐ABS・TPHA)

梅毒の原因である梅毒トレポネーマ(TP)に対する抗体の反応を調べる検査方法です。TP抗原を用いた方法にはFTA‐ABS(梅毒血球凝集反応)やTPHA(梅毒蛍光抗体吸収法)があります。

TP抗原を利用する検査方法は一度陽性を示すと、たとえ治療が適切であったとしても数値が下がらず、また治療が終了した後も半永久的に陽性反応を示します。そのため治療の進捗状況を調べる指標として適切ではないとされています。また、一度梅毒に感染すると献血を受けることが出来なくなる理由でもあります(梅毒感染者は完治しても献血ができない)。

RPR法が治癒後に陰性化しやすいのに対し、TPHAは長く陽性が続くため、治癒判定はRPR法定量を定期的に追跡して行います。